スポンサーリンク

免税店の売上アップ、本当に良いのか?

スポンサーリンク

免税店の売上がアップしている

 免税店に関し、法令が改正され、先月の1日からスタートした。
 そしてそれから1か月。想定以上の効果で、売上がアップしているという。ドン・キホーテでは、1人で10万円分をまとめ買いする中国人観光客もいるという。

2014年11月2日 産経新聞
ドンキで1人10万円! 中国人客が“ダンボール買い” 訪日外国人の免税品拡大から1カ月 想定の倍以上の効果

 これにより、昨年1年間の外国人の国内消費額1兆4167億円を超え、今年は2兆円に達する可能性も出てきたという。
 もともと期待されていた改正であったが、大きな効果を生んでいるようだ。


免税店の改正

 そもそも今回の免税店の改正とは何なのか?

 従来から、外国人旅行者は「通常の生活に供されるもの」について、消費税の免税を受けることができた。
 しかし、「食品類、飲料類、たばこ、薬品類及び化粧品類並びにフィルム、電池その他の消耗品は除く」とされており、金額も1万円以上の買い物をすることが必要であった。そのため、日本での免税店の中心は、家電製品やブランド品を扱う店となっていた。

 今回の改正で、「食品類、飲料類、たばこ、薬品類及び化粧品類並びにフィルム、電池その他の消耗品」も対象となり、これらについては購入金額も引下げられ、5千円となった。


輸出物品販売場制度について

国税庁「輸出物品販売場制度について」

 つまり、免税対象の商品の範囲が拡大され、免税措置を受けられる金額も引き下げられたのだ。
 そして免税店の許可を受ける小売店も増え、この改正の効果が、上記のニュースとして現れたといえよう。


本当に良いのか?

 外国人観光客が日本でより多く買い物をすることはうれしいことであり、今回の改正も賛成だ。

 しかし同時に思うのは、デメリットとまではいかないが、このままの改正で本当にいいのかという点である。

 外国人観光客が免税対象となる商品は、「同一店舗における1日の販売額の合計が5千円超50万円までの範囲内の消耗品」である。

 旅行で何万円もお金を使う観光客は多いだろうが、同じ店で1日に買う商品は限られてくる。特に、小さな小売店や普通のお土産店などで、5千円以上買い物をする観光客は多くはないだろう。

 逆に、この規定で恩恵を受けやすいのが、大規模な量販店・小売店である。多種多様な商品を扱い、品揃えも多いため、同じ店で1日に買う商品金額としては、5千円を超えやすい。

 すなわち、今回の改正で最もメリットを受けているのは、大規模な量販店・小売店であり、(恩恵を受けているところがあるだろうが)小さな小売店では恩恵は小さい。
 政策目的が異なるとはいえ、結局は、大規模な量販店・小売店支援につながっているといえよう。


更なる改正を!

 私は今回の改正自体は、決して悪いとは思っていない。

 しかし、小さな小売店やお土産店がもっと恩恵を受けれるような形にしてほしいと思う。特に地方では、そもそも大規模な量販店・小売店が少なく、温泉地などを考えれば分かるように、今回の改正でメリットを受ける小売店は多くはないだろう。

 この点で、金額に関する規定を引き下げるなどして、小さな小売店でもメリットを受けれるような形にしてほしいと思う。
 また、金額を変えなくても、「同一店舗」という規定を緩め、協会・組合組織などを利用し、一定地域に立地している小さな小売店に関しては、認めるということにしてもいい。

 このようなことをすれば、事務作業が増えるので厄介であろうが、折角、外国人観光客が増えているのだから、小さな小売店・お土産店などがもっと恩恵を受けられるようなものにしてほしいと思う。

コメント