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チェックが甘くなる補正予算は、注意せよ!

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平成26年度の補正予算の発表

 26年度の補正予算がこの前、発表された。
 今回の補正予算は、昨年末に発表された地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策で示されたように、地方対策や景気対策がメインである(内閣府HPより抜粋)。

【地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策(平成26年12月27日)】
経済対策の基本的考え方
経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感をもって対応を行うことで、経済の好循環を確かなものとするとともに、地方にアベノミクスの成果を広く行き渡らせることを目指す。このため、以下の3点に重点を置いて取りまとめた。
①地域の実情に配慮しつつ、消費を喚起する。
②しごとづくりなど地方が直面する構造的な課題への実効ある取組を通じて地方の活性化を促す。
③災害復旧等の緊急対応や復興を加速化する。


 そして補正予算の概要は、次のとおりである(財務省HPより抜粋)。


26年度補正

平成26年度補正の概要

 そもそも補正予算は、緊急性がある施策に対して、組まれる予算である。ただこの緊急性により、予算査定が甘くなったり、テーマに無関係・無駄な事業が行われることが多い。
 特に今回の補正予算は、経済対策・景気対策であるので、「お金を使う」ということがメインとなる。

 そうなると、一層、疑問のある予算・事業が生じやすい状況と言える。


疑問のある予算・事業の例

災害復旧・災害対応の強化

 分かりやすいのが、公共事業関係だ。
 昨年、様々な地域で災害が発生し、復旧は必要であるが、当然ながら、災害対応という部分で、補正予算として積み増しが行われている。

 更に細かく中身を見ると、「学校施設、社会福祉施設等の耐震化・防火対策等の推進」ということで予算がついているが、このようなことは、補正に関係なく、進めるものである。しかし、「お金を使わなければならない」「予算が付きやすい」という理由で、予算化されたもののいい例だろう。


地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業

 「地方が直面する構造的課題等への実効ある取組を通じた地方の活性化」という部分は、まさしく今回の補正予算のメインである。
 しかし、ある種、優先度が低かったり、本当に地方の活性化につながるのか、疑問のある事業が含まれている。

 例えば、「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業」というものがある。
 この事業の予算を見ると、概算段階では計上されていたが、最終的な27年度予算としては計上されていない。

 このようなことになった理由としては、2つ考えられる。
 1つは、本予算では査定で落選したが補正予算で復活したというものであり、もう1つは補正予算が組まれるに当たり本予算から補正に回されたというものである。
 前者であれば、本来は予算化がなされていない優先度の低い事業に予算がついたということであり、後者であれば、本予算では予算をつけることはできないが、補正予算という新たな枠ができたので、そこで要求すれば予算をつけるといったやり取りなどが行われた結果であり、いずれも補正予算らしいと言えよう。

 また、この事業は、一見「地域経済活性化」と名称がついており、地方対策に見えるが、そうではない可能性も高い。
 なぜなら、基本的には海外向けのコンテンツ作りを行うのだが、その製作者は、放送局や番組制作者である。そしてその製作者は、東京などの大きな企業が受注することになるだろう。
 そうなると、コンテンツが作られたが、地域活性化につながらず、結局、儲かるのは、東京などの大きな企業となる可能性が大きい。


戦略的海上保安体制の構築

 「安全・安心な社会の実現」の中で、「戦略的海上保安体制の構築」という予算が組まれているが、経済対策とは無縁である。
 ちょっと細かく見ると、新型ジェット機・規制能力強化型巡視船の整備などに、お金が使われるようだ。

 一見、災害・危機等への対応という点でもっともらしいが、尖閣・小笠原周辺海域の領海警備の強化のためで、はっきり言えば、地方経済とは無関係である。


しっかりとしたチェックを

 もっと細かく見ていけば、疑問がある予算・事業があると思う。
 ただ今後、国会が始まれば、たぶん、何の問題もなくこの予算は通過していくだろう。

 今回の補正予算は経済対策なので、お金を使うことが重要となる。
 しかし、本当に補正予算としての意義があるのか、無駄はないか、補正予算の趣旨と合致しているかを見ていく必要がある。

 どうしても補正予算はチェックが甘くなるので、今後、国会が始まったときには、しっかりとチェックをしてほしいと思う。

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