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単純に真似をしてはいけない、地方自治体による朝型勤務

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国家公務員に対する朝型勤務の導入

 政府は、国家公務員の勤務時間について、7・8月の間、1・2時間前倒しするという朝型勤務(「ゆう活」)を進めている。

2015.6.27 読売新聞「国家公務員の朝型勤務「ゆう活」、徹底求める」

 ある種のサマータイムの導入だが、これを受け、いろいろな地方自治体でも朝型勤務を導入するところが出てきているようだ。

 サラリーマンならば、誰もが経験したことがあると思うが、(良い悪いは別として)他の人が仕事をしている中で、定時とはいえ自分だけ帰ることは行いにくい。その意味で、日本社会ではなじみにくい制度ともいえる。

 ただ、民間企業や国家公務員以上に、地方公務員では、朝型勤務はやりにくいのではないかと思う。


民間と異なるところ

 民間企業では、(職種にもよるが)個人で進める仕事も多い。しかし、行政の場合には、そのような仕事はあまりない。同僚や直属の上司など、誰かと一緒に仕事を進めることが多い。そのため、一部の者が朝型勤務であっても、他の人が通常勤務であれば、それに引きずられ、無名化する(実質的には、残業増となる)。
 そして、上司の許可が必要な仕事も多いため、上司の活動時間に合わせて、時間が決まる面も大きい。例えば、外出が多かったり、忙しい上司がいれば、その決裁・許可などをもらうには、若干、落ち着いた夕方や夜が望ましいことも多い(逆に、朝型勤務で朝早く出勤しても、上司はいない)。

 また、民間企業と異なり、行政は議会・委員会などがある。そうするとその前日は、答弁作成などを行わなければならず、その作業は前日の夕方から夜まで続く。答弁にあたっていなくても、いざという時のために議会待機などもあり、朝型勤務にしても、終わりは夜になるため、結局、残業などのコスト増となる。


国と異なるところ

 国と地方自治体は同じ行政機関であるため、上記の問題はある意味、同じである。
 しかし、国と地方自治体で大きく異なるのは、地方自治体では現場だけを担当している部署が少ないところにあるだろう。勿論、地方自治体でも現業部門があったり、窓口業務などを担っているが、同時にその職員は、企画機能を担っていたり、議会対応などが必要な場合も多い。

 この点で実は、国は承知をしており、上記のニュースによれば、朝型勤務に参加する職員は22万人に上るそうだが、うち地方の出先機関が18万人ということである。
 つまり、企画立案・予算・議会などの対応をしなくてもいい職員が、朝型勤務となるわけだ。そしてこの点で、地方公務員は、現場業務だけではなく様々な業務を行う必要があることから、朝型勤務を行いにくい面があると思う。特に、自治体の規模が小さくなるほど、一人の職員がいろいろな業務を行わなければならず、難しい面があるだろう。


真似をしてはいけない

 以上のことを考えると、国がやっているからといって、地方は真似をする必要はない。
 逆に、単純に国がやっているからと、朝型勤務を導入すると、無意味どころか残業代などのコスト増にもつながる(ただ実質的には、職員のサービス残業が増えるだけかもしれないが…)。

 こんなことで頑張るよりも、他の面でしっかりと職員のことを考えたほうがいいと思う。

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