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自転車保険の義務化を産業・経済的に考える

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概要

 兵庫県で、自転車購入に対する保険加入の義務化が検討されているようだ。

2014年10月21日 朝日新聞自転車買ったら保険加入義務 兵庫県、全国初の条例案

 自転車による事故が増えているとともに、自転車による事故で多額の損害賠償が生じるといった問題から、自転車の安全利用に関する条例制定が各自治体で進められているが、保険の義務化は、ニュース記事タイトルにあるように、全国初で珍しい。
 
 このように保険を義務化まですることに、賛否はあるだろう。

 自転車とはいえ、車であり危険なのだから賛成ということもあるだろうし、逆に金銭負担が増え、何よりも誰でも乗れる自転車の手軽さが失われることに対する反発もあるだろう。

 私が思うのは規制の是非というよりは、折角規制をするのだから、単に規制をするのではなく、経済面を考えたり、更には産業政策的に考えてほしいとも思う。


経済・産業的に考える

自転車屋

 このような義務化が行われると、まず影響があるのが、自転車屋である。
 自転車購入の価格が高くなるということは勿論だが、保険の取り扱いをどうすべきなのかが、自転車屋にとっては重要となるだろう。

 保険を取り扱うには、保険会社の代理店となったり、免許が必要だ。しかし、小さな自転車屋にとっては、対応できないところがほとんどだろう。
 これまでならば、「自転車保険は保険会社に聞いて」で済んだが、義務化されるとそうはいかなかったり、サービスという面を考えると、保険を取り扱うか否かが重要となる。量販店ならば対応は可能だろうが、小さな自転車屋に対してどうするのかも政策的に考えなければならないだろう。

任意保険

 また産業政策的に言えば、このように義務化されると、義務化されていない任意の部分の保険もポイントとなる。
 自動車の場合、自賠責のほかに、任意保険に入っている人も多いだろうが、自転車保険が義務化され認知されると、任意部分の保険マーケットも生じる。
 そうしたときに、この任意保険マーケットをどうするのか、地域への還元なども考えてほしいとも思う。

保険会社

 更にもっと産業政策的に考えれば、兵庫県では今後、公募で保険会社を選定するそうだが、、地域で新たな保険会社を作ったりしてほしいとも思う(もしくは、地域の民間企業が新たに参入してほしいと思う)。

 保険と言えば、(新規参入はあるとはいえ)大手企業が中心の保険業界である。ただ保険業に参入するには、規制もあり難しい面もあると共に、保険の仕組み自体は、統計の有無がポイントで単純だ(数理的な点も多いが、本質的ではない)。

 義務化により一定の需要が見込まれるだけではなく、このようなことが行われると、必ず他の自治体でも行うところが出てくると思われる。そうしたときに、地域にいかに利益をもたらすかという点でも、地域初でこの保険業界の風穴を開けてほしい。


規制はマーケットを生む

 よく経済活性化のために、規制緩和が言われるが、規制によりマーケットが生まれる場合もある。
 そして、今回のこの義務化は、明らかに後者の場合である。

 どうしても行政が何かやろうとした場合には、一面的にしか見れないことが多い。今回でいえば、いかに自転車事故という問題に対してどうするかといった点だ。
 しかし、この記事で述べたように、産業的に考えれば、全く違った部分も見えてくる。

 今回義務化を行う兵庫県はもとより、今後義務化してくるであろう他の自治体も、このような経済・産業面を忘れてはならないと思う。

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