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歳入歳出予算

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 地方自治体における歳入歳出予算について、解説しています。

概要

 歳入歳出予算とは、地方自治法210条や215条第1号により定められたもので、地方自治体における収入や支出の計画を示したものです。
 歳入には地方自治体の収入を、歳出には地方自治体の支出が計上されます。

「一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。」(地方自治法210条)
「予算は、次の各号に掲げる事項に関する定めから成るものとする。
     一  歳入歳出予算(以下、略)」(地方自治法215条)

 そして予算について、議会での議決が必要とされます。

普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都にあつては三十日、その他の及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。」(地方自治法211条第1項)


款項目節

 歳入歳出予算は、「款」「項」「目」「節」というもので区分されます。
 「款」は、歳入にあってはその収入の性質ごとに、歳出にあっては支出の目的によって、区分されます。
 更に「款」は「項」に、「目」は「項」に、「項」は「節」によって、それぞれ細分されています。

「歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを款項に区分しなければならない。」(地方自治法216条)
「歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを款項に区分しなければならない。」(地方自治法216条)
「歳入歳出予算の款項の区分は、総務省令で定める区分を基準としてこれを定めなければならない。」(地方自治法施行令147条1項)
「普通地方公共団体の長は、次の各号に掲げる事項を予算の執行に関する手続として定めなければならない。
  (中略)
  三  歳入歳出予算の各項を目節に区分するとともに、当該目節の区分に従つて歳入歳出予算を執行すること。
 2 前項第三号の目節の区分は、総務省令で定める区分を基準としてこれを定めなければならない。」(地方自治法施行令150条)
「歳入歳出予算の款項の区分並びに目及び歳入予算に係る節の区分は、別記のとおりとする。
 2  歳出予算に係る節の区分は、別記のとおり定めなければならない。」(地方自治法施行規則15条)

 これでは分かりにくいので、歳入・歳出のイメージは次のとおりです。

(イメージ)

歳入 歳出
(款) 1 市町村税
(項) 1 市町村民税
(目) 1 個人
(節) 1 現年課税分
(款) 5 土木費
(項) 2 道路橋りょう費
(目) 2 道路維持費
(節) 15 工事請負費


歳出予算の節

 予算において重要なのが、歳出予算の節です。
 この節によって、具体的に何にお金を使うのかといった細かな予算の使い道が決まるためです。

 例えば、2節の給料に予算がついていたとしても、電気料(これは、11節の需用費に該当)にお金を使うことはできません。

1節 報酬 議員や委員報酬などに対する報酬
2節 給料 首長や職員に対する給料
3節 職員手当 扶養手当、通勤手当といった諸手当
4節 共済費 地方公務員共済組合に対する負担金や社会保険料
5節 災害補償費 療養補償費など
6節 恩給及び退職年金 恩給や退職年金
7節 賃金 臨時職員などに対する賃金
8節 報償費 報償金や償賜金
9節 旅費 職員や委員などに対する旅費
10節 交際費 知事などによる公の交際のために使われる経費
11節 需用費 消耗品費、燃料費、印刷製本費、光熱水費、修繕料など
12節 役務費 「えきむひ」と呼び、通信運搬費、保管料広告料、手数料、火災保険料など
13節 委託料 外部への委託に対する経費
14節 使用料及び賃借料 物品等の使用料、土地家屋・会場・自動車等の賃借料
15節 工事請負費 道路や橋など公共施設に対する工事費
16節 原材料費 工事材料費や加工用原料費
17節 公有財産購入費 諸権利購入費、土地・家屋購入費、船舶・航空機購入費
18節 備品購入費 庁用の機械・器具購入費など
19節 負担金、補助及び交付金 負担金(国直轄事業負担金等)や補助金・交付金
20節 扶助費 生活扶助費生業扶助費等
21節 貸付費 個人や事業者等に貸付ける経費
22節 補償、補填及び賠償金 補償金、賠償金、補填金
23節 償還金、利子及び割引料 償還金、地方債の利子、割引料等
24節 投資及び出資金 債券、株式の取得に要する経費
25節 積立金 基金への積立金
26節 寄附金 公益上必要な場合の寄附
27節 公課費 各種登録税、自動車重量税等
28節 繰出金 各会計への繰出金

 なお、節を更に細かくした細節が設けられるものもあります。


流用

 流用というとイメージは悪いですが、予算において流用とは、ある科目にある予算を別の科目の予算に移す・融通することです。

 予算を執行する上で、ある科目に計上した予算が足らなくなったり余ったりします。当然、議会で補正予算などの形で調整可能ですが、それでは壇略的な予算執行ができなくなってしまいます。そこで、地方自治法でも認められているのが、流用です。

「歳出予算の経費の金額は、各款の間又は各項の間において相互にこれを流用することができない。ただし、歳出予算の各項の経費の金額は、予算の執行上必要がある場合に限り、予算の定めるところにより、これを流用することができる。」(地方自治法220条第2項)

 ただしこの規定にもあるように、無制限に流用することはできません。
 款項の間の流用は議会の議決が必要であり、目節の間の流用も財務規則などで制限されています。

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