地域経済・地域政策について、批評・分析しています!!
   RSS登録


費用対効果


概要

 費用対効果とは、ある費用をかけたとき、どれだけ効果があるかということをみる指標である。
 「B by C」(ビーバイシー)とも呼ばれ、次式のような形で定義でされる。

   費用対効果 = 便益(Benefit)÷費用(Cost)

 なぜ、このような指標が必要かと言えば、当然、ある事業を行ったときの効率性をみるためである。

 通常、企業であれば、どれだけ費用をかけて、売上や利益があがったかで、その事業の効率性を図ることになる。しかし、行政機関などの事業においては、売上や利益というものがなかったり、必ずしも売上や利益だけでは考えられないものがほとんどである。例えば、図書館などの運営についてはお金をとっているわけではないので、売上や利益を計上することはできない。また、高速道路などはお金をとっているが、必ずしも売上が大きければ、利益が多く上がればいいというものではない。逆に、高速道路であっても、売上・利益としては小さくても、必要な道路もあるだろう。

 そこで、「便益」という概念で、事業の効率性を図ることになる。


見方

 費用対効果においては高いほど、少ない費用でより高い効果を上げたことになるので、望ましい。逆に、低ければ、事業の中止や費用の削減などが検討されることになる。

 ただ、費用対効果においては、ある事業の1時点の費用対効果を知るだけでは、判断がつかないことが多い。
 通常は、ある事業を費用対効果で図ったとき、必ず比較対象が必要であり、2つの視点で比較が行われる。

 1つは、他の類似した事業との比較である。例えば、図書館について、費用対効果を測定した場合、その他の図書館の費用対効果と比較が行われて、その図書館運営の是非が問われる。
 もう1つは、経年変化による比較である。過去よりも費用対効果があがったのか、下がったのかでその事業の妥当性が判断される。

 なお、類似事業と変化という両面で見ることが重要であるが、データ制約等から必ずしもこの2つの視点で比較を行うことができないことも多い。ただ何らかの形で、比較対象が必要となる。


ポイント

 費用対効果を見るにあたって最もポイントとなるのが、便益の概念である。
 費用は、予算などで比較的容易に測定できるが、便益には様々な概念があるため、この便益の捉え方で費用対効果の数値は大きく変わってくる。

 ここで、便益の概念について、注意する点として、次のようなものがあるだろう。

 1つは、便益に該当するような数値があるかという点である。費用対効果ということで、効率性を図るにあたり通常の企業とは違う指標を用いるわけだが、あくまでも数字によるものである。そのため、数字がなければ、費用対効果を図ることはできない。例えば、ある施設の「満足度」などを見る際には、その「満足度」のデータが必要となる。

 2つは、数字があっても、その便益を図るにあたって、その数字が本当に適切であるかを考える必要がある。例えば、ある体育館について費用対効果をみるとしよう。通常は、その利用者数などが便益としてカウントされることになるだろうが、もしその体育館の行政目的が健康増進ということならば、これは必ずしも適切とは言い難い。全く無関係とはいえないが、体育館の利用者数が増えても、健康になった人が多いとは限らないからだ。
 つまり、便益のデータを用いる際には、目的と関連したものである必要があるということだ。

 3つは、計画に当たって費用対効果をみるときには、その便益はあくまでも予定・見込みであるということである。そのため、常にその便益には過大・過少の可能性が生じる。例えば、「公共事業について費用対効果で判断する」という話がよくあるが、費用対効果の数値そのものよりも、むしろ重要なのは、便益等はあくまでも見込みであり、便益等が過大になっていないかなどを注意する必要がある(また、計画においては、費用も過少となっていないかも考える必要がある)。

 4つは、2つ目の話と関連するが、目的というものをしっかりと考える必要がある。行政機関の事業などは、目的が1つとは限らない。例えば、道路などは交通の利便性を向上させるという目的もあるが、災害時の避難インフラという側面も有する。そこでこの目的が曖昧になってしまうと、当然ながら、その便益もよく分からないものになってしまう。
 逆に、行政で予算を確保したい場合には、あえて別の目的を持ち出し、その事業の有効性を主張することがあるので、注意が必要である。例えば、費用対効果の話ではないが、農業振興に関して、従来は自給率の向上が目的の中心に据えられていたが、政策上なかなか自給率が向上しない中、近年では農村の多面的機能などの維持などが目的として加えられたりしている。

 以上のように、費用対効果を見るにあたっては、その数値をそのまま受け入れるのではなく、注意が必要である。










コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


広告

人気記事

人気ワード

人気一覧

広告

分野

地域経済地域経済 (102)
地方行政地方行政 (80)
地域金融地域金融 (22)
地方財政地方財政 (35)
その他その他 (61)
社会福祉社会福祉 (8)
地域活性化地域活性化 (72)
商店街商店街 (15)
エネルギーエネルギー (17)
農林水産業農林水産業 (34)
インフラインフラ (32)
観光観光 (70)
地域政策地域政策 (104)

広告